みなさんこんにちは。おゆです。
ブランド物、好きですか?
今日はブランド品が格安で購入できるサイトをいくつか紹介しつつ、ファッション業界の人間が考えるブランド品の価値を深掘りしていこうと思います。
ファッションに興味がある人はもちろん、全然興味が無い人も、面白い話ができると思いますのでぜひご覧になってください。
バレンシアガ・マルジェラ 今話題の人気ブランドが30%OFFで買える
Cettire(セタイア)

マルジェラの人気の5ACシリーズです。こちらはマルジェラの公式価格。
¥260,700(税込)です。いいですね。
これがセタイアだと↓

なんと¥165,500(税込)です。脅威の36%OFFです。
モデル、カラーコードを見てもらうとわかりますが同じ商品です。
italist(イタリスト)

こちらはバレンシアガのフーディです。
人気のオーバーサイズで¥210,100(税込)です。これは流石にたかすぎ。
最近のバレンシアガって値段攻めすぎですよね。
これがイタリストだと↓

約¥146,134(税込)。だいたい30%OFFで買えます。
いや安いけどこれに関してはこっちが適正価格では、、と思ってしまうのは僕だけでしょうか。
この他にも名だたるラグジュアリーブランドの新作商品が15〜40%OFFで購入できます。
シーズンオフの商品ならまだしも「新作」がです。
※商品価格は執筆時点のもので、変更される可能性がおおいにあります。
なぜここまで安いのか

ここまで安いと訝しんでしまうのが人間の常ですよね。
偽物なんじゃないのか?と疑問に思うのは当然です。
売っている商品はほぼ確実に本物
しかし、これらのサイトで取り扱っている商品はほとんど本物です。
「ほとんど」というのはもしかしたら流通の経路で何かの手違いがあって偽物が紛れ込むこともある、かもね。くらいの感覚です。99%本物です。
検索すれば実際に購入した人のレビューがたくさん出てきますので参考にしてください。
少なくとも僕がみる限り偽物をつかまされた人は見つかりませんでした。
それは後述する理由を見ても明らかです。
偽物を販売するよりもリスクが少なく、安価に販売する方法があるんですね。
本物、しかも新作を値引き販売できる理由
それはこれらのサイトはグレーマーケットといわれる流通チャネルを通じて仕入れた商品を販売しているからです。
偽物はブラック、我々はグレー。
こういうスタンスですね。
なので偽物を販売する必要が無いし、そこと明確に区別される必要があるんですよ。
偽物と違って合法で、リスクが無い販売形態であることが重要なんです。
少しでも偽物が混ざると存在意義そのものが否定されますから。
グレーマーケットについて

ではここからはグレーマーケットについてさらに詳しく解説していきます。
グレーマーケットとは、あくまで合法での取引でありながらブランド側が意図していないところでの取引のことを指します。
つまり正規の取扱店では無いということです。
ミニマムオーダーという戦略
グレーマーケットで安く流通している商品ほとんどが、ショップの余剰在庫です。
これらを原価で買い叩いているわけです。
ブランドビジネスというのは一朝一夕で築いたものでは無いですよね。
長い時間をかけて多くの人の労力の上で成り立ってきたわけですが、その世界観を維持することが至上命題なんです。
少しでもブランド価値が毀損することはしたくないし、安い言葉で説明するなら『舐められる』わけにはいかないんです。
そしてそんな世界観の維持のためにブランドは卸先の選定を厳密に行うわけです。
そこで登場するのがミニマムオーダーというルールです。
『うちと取引するんだったらワンシーズン最低100万円は買付してね。』みたいなルールを設けるんです。
このミニマムオーダーがラグジュアリーブランドだとめちゃくちゃに高いんですよ。
聞く話だと数千万円とからしい。やばすぎ。
多くの人が欲しがるラグジュアリーブランドだからこその超強気の設定です。小規模ブランドだったらミニマム10万円とかがいいところですからね。
こうすることによってそこらへんの個人店では買付することすら不可能になってきますし、バッグ1点だけの買付でブランドの取扱店を名乗られたりして世界観を毀損する心配も無くなると。
販売利益も安定しますし、ブランド側からするとメリットが大きいですよね。
余剰在庫を安く買い叩いている

でもこれって小売店からするとものすごい負担です。
- 正直そんなに売れないんだけど、自社のブランディングのためにどうしても取り扱いたいブランドがある
- 昨シーズンちょっとコケたんだけど、今シーズンも少しだけ買い付けたい
- アパレルはいらないけどバッグだけ取り扱いたい
みたいなことを考えていても、取引するためには有無を言わさず数千万円のミニマムオーダーをのむしかないわけです。競合が取り扱っているのに自社が取り扱えないとなると、、推して知るべしです。
こうして、いらないのに買っている在庫があるんです。
そんな時、こう言ってくる人がいます。
『そのいらない在庫、500万円分うちが原価で買い取りますよ。おたくも損しないしいいでしょう?』
どうでしょうか。正直僕だったら乗ると思います。
ショップからすれば不要でリスクの高い在庫を処分できますし、デメリットがほぼありません。
こうして横流しされた在庫というのが、グレーマーケットで取引されているわけです。
しかも正規取扱店ではないので価格設定も自由にできますし好きなタイミングでセールだってできます。
グレーマーケットの存在は市場の歪み
これって考えてみればおかしな話ですよね。
無理なミニマムオーダーを課して小売店は辛いし、結果在庫を横流していてブランドも世界観の維持に失敗していますし。
需要以上の買付をさせている状況は市場の歪みに他なりません。
結局誰も得していないですよね。
強いていうならグレーマーケットのブローカーとサイトが儲かっているだけです。
歪ませたのはハイブランド自身
だからといってミニマムを緩めたりすることはできないんですよね。
それは前述の通りブランド価値の毀損を最も嫌うからです。
価値を大切にするが故にプライドの高さが仇となって、引くに引けない状態になってしまった。
小売店、そして一般消費者もそんな姿勢について行けなくなってきたわけです。
昨今の原材料費の高騰もあって、ここ数年は毎年のように10%〜20%程度の値上げをするブランドが出てきています。
そうして生まれた価値観のズレが形になったのがグレーマーケットです。
消費者は正規店でなくても安く購入できるならグレーでもいいと考えているんです。
偽物でないなら法的なリスクも全くありませんし、どこで買ったのか自分で言わなければ誰にもわからないですから。
グレーマーケットの破壊力は甚大

現在グレーマーケットは中国を中心に巨大な市場を形成しています。
その規模は年間数十億円にも上るとも言われています。
今まではブランド側も双方にメリットがあると考えてグレーマーケットを放置していたのですが、ここ最近のグレーマーケットの勢いはすでに制御できるレベルを超えています。
すでに多くの消費者に知れ渡っていて、ブランドの市場価値に大きな影響を与えているのはいうまでもありません。
規制に乗り出そうとしている企業も多く、近い将来グレーマーケットは縮小していくと予想されています。
余談|街中にも怪しい店って結構ある
グレーマーケットとは直接関係ないんですが、正規の流通網でないところから商品を仕入れているお店って結構あります。
うちの会社の商品もたまに聞いたことないようなお店に置いてあることありますね。
そしてなんか異様に値引きされていたりするんですよ。
基本的に値引きについてブランド側は強い規制をかけている場合が多いです。
割引上限や時期、対象商品など細かく指定されます。
うちの会社も最近不当なポイントに規制をかけたりとかしていました。
で、そういうお店で「なんでこんなに安いの?」って知らないふりをして聞いてみると、「社長しか知らないコネがある」とか「ちょっと裏技的な感じで安くできるんです」みたいなテキトーなこと言われますね。
要するにうちの会社と直接取引がなくて、よその卸先から横流ししてもらっているのでうちの会社の規制からはみ出しているんですよね。ブランドからすると目の上のたんこぶでしょうね。
ブランド品の価値を考える
ここからはブランド品の本質的な価値とはなんなのか、それを踏まえてグレマーケットとどう向き合うべきなのか、僕の意見を書いていきます。
なぜ人々はブランド品に魅了されるのか
これは永遠のテーマですね。
僕自身もまだ明確な答えは出せずにいます。
ただ一つ確かな事実はその希少性ですね。結局代替できるものが無いんですよ。
資本主義社会において、物の価値と価格の関係は指数関数で表されると思っています。

こういうやつ。
x軸が物の価値、y軸が物の価格ですね。
楽器をやる人だとわかってくれると思うんですけど、5万円のギターと10万円のギターって2倍の価格差で品質の差って倍以上あるんですよ。一方で50万円のギターと100万円のギターってそんなに差がないんですよね。同じくらいの変化を求めるには200万円くらい出さないといけなかったりします。
服も同じで、究極を求めるならその価値の差以上に価格が上がっちゃうんですよね。
結局はただの布なんですけど、計算され尽くした緻密なシルエットであるとかデザイン性であるとか、品質や縫製の一つに至るまでのこだわりを求めると値段がぐんぐん上がっていきます。
普通のメーカーだったらある程度のところで妥協しますよね。だって高すぎたら売れないもん。
それを無視して最大までクオリティを上げつつ、ブランディングとプライドの一点突破で価格に整合性を持たせているってすごくないですか?
ハイブランドを真似ているデザインの服って市場に腐るほどありますけど、その全てが陳腐な模倣品に過ぎません。
僕自身もハイブランドのルックを真似したくて色々探して「やっぱ他に無い、だめ!」ってなった経験ってめちゃくちゃあります。
その差は培ってきた歴史であるし、魂だと思うんです。
だから人々は共感して価値を感じてくれると。
生半可な企業では太刀打ちできない覚悟がそこにあるからこそ、希少性が高いんです。
人間は所有欲を持つ唯一の生き物
より本質的な人間の所有欲、他人よりも良いものを欲しがる性質についてはこの動画が面白いです。
ブランド品の価値は体験・経験そのものである
そしてもう一つ重要な要素がブランド品は体験としての価値が高いことです。
単純に購買行動一つとっても、ショップでの手厚いサービスやおもてなしに心を打たれることもあるでしょう。アフターフォローもしっかりと行き届いていて満足感が非常に高いのも特徴です。そうでもないところも結構ありますけど。
そうして何よりもお気に入りの服を身につけることによって得られる高揚感、幸福感は他の趣味とはまた少し違う経験を味わえるはずです。
人は見た目が全てではないですが、無条件で見た目が良くなるなら断る人ってあまり多くないですよね。
人間は心のどこかで他人によく思われたいと必ず思っている気がします。
そんな欲望を叶えてくれるわけですね。
偽物では意味がない
これは明確ですね。
偽物には体験も経験もありません。あるのは見栄だけです。
僕はめちゃくちゃ見栄っ張りですけど、なんとなく違うんですよねこれ。
人によくみられるためだけの行動ってカッコよくないんですよ。
自分が満足していて結果的に人からもよく見えるっていう状態が至高です。
だから偽物は自分が納得できないのでNG。
グレーマーケットとどう向き合うか
正直使う人は使えばいいと思います。
今回もこうして紹介しているわけですし。
さんざん色々書いてきましたが、現在グレーマーケットが蔓延っている一因はブランド側にあります。
ある種の必要悪と言ってもいいでしょう。
僕自身は業界内の人間なので業界の未来のためにもグレーマーケットで購入することは無いのですが、アウトレットで購入することはありますし、ブランドに対する意識として明確な差を見いだせない自分がいることも確かです。
本当にブランドを応援したいなら正規店で購入すればいいですし、とりあえず買ってみてそこから良さに気づくこともあると思いますしね。
その他おすすめサイト
最後にグレーマーケットはなんか嫌!って思った方のために他にもいくつかサイトを紹介しておきます。
Farfetch(ファーフェッチ)

ラグジュアリーファッションに特化したECサイトです。いわばラグジュアリー&世界版のZOZOタウン。
世界中のセレクトショップやブランドが直接ユーザーに商品を届けることで低価格を実現しています。
世界中のショップが出品しているので、日本より価格設定の安い国のショップも当然あります。
ただし、普通にただのECサイトなので国内より高い場合もあります。
安さを売りにしているわけでは無い点は注意が必要です。
あと結構2重価格が横行しているので、割引率に惑わされずしっかりと価格をチェックした上で購入しましょう。
SSENSE(エッセンス)

海外のデザイナーズブランドやラグジュアリーブランドに強いECサイトです。
オフシーズン品だと70%OFFとかで売っていたりするので結構安いですね。
もちろん本物ですよ。
こちらもFarfetchと同じくショップとユーザーを直接繋ぐ仕組みになっているので低価格を実現しているわけですね。それに加えてシステム化を推進していって人件費も最適化しているとか。
僕は結構好きで使っています。
YOOX(ユークス)

平たく言うと海外アウトレットの通販サイトです。
オフシーズン品や返品商品などを格安で販売しています。
カルティエやクロエを内包するリシュモングループの傘下の会社なので超大手です。
もちろん偽物の心配は全くありません。
アウトレットなので狙った商品が必ず手に入るというものでもないですが、ちょこちょこのぞいていると良いものがあったりして楽しいですね。
BUYMA (バイマ)

もうめちゃくちゃ有名ですね。なので最後に紹介します。
CtoC取引のためのプラットフォームです。
日本向け価格と海外向け価格の差を利用して安く出品されているものが多数あります。
あとノーブランド品も多数出品されているのが面白いです。
韓国初のよくわからないブランドで可愛いやつとか結構あります。
BUYMAは性質上偽物がゼロとは言い切れませんので注意は必要です。
ただし運営も偽物撲滅に向けて相当力を入れていますので、リスクは低いと思います。
まとめ|結局価値観は人それぞれ
いかがだったでしょうか。
色々解説しましたが、結局最終的な価値観というのは人それぞれです。
偽物でもバレなければ良いっていう人もいますし、正規店で買わなければ意味がないっていう人もいます。
偽物は違法なのでダメなんですけど、今回紹介したグレーマーケットは社会通念上ある程度の地位を築いていることも事実です。先述した通り僕は必要悪だと感じています。
個人個人が自分の価値観で、自分のライフスタイルに合ったショッピングを楽しんでくれたら良いなと思います。
今日は以上です!
ありがとうございました!
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